
ムクムク
水と光と大地に捧げる詩
北海道初の新幹線駅として開業した新函館北斗駅。
ここに、道南の雄大な自然を表現したステンドグラス、
「ムクムク 水と光と大地に捧げる詩」が設置されています。
水や大地、木々や草花のエネルギーが
人々の心に希望と元気を運んでくるようにと、
北海道滝川市出身のアーティスト 五十嵐威暢氏が
祈りを込めてデザインした作品です。
作品紹介
北海道の南西に位置し、海の玄関口として栄えた道南地方。
港町として発展した函館など北海道の歴史を物語るエリアであると同時に、美しい自然に出会える地域でもあります。
大沼国定公園を中心に広がる、清らかな水と光があふれる道南の豊かな自然からインスピレーションを受けた有機的な形状のステンドグラス。
熟練の技術をもつCREARE ARTだからこそ実現できた作品です。
作品のモチーフ
大沼国定公園
大沼国定公園は、
総面積約9,083haにもおよぶ広大な公園。
活火山である駒ケ岳、大沼・小沼・じゅんさい沼からなる
広大な湖と126の島々で構成されています。
春から秋にかけては草花を眺めながらの散策、
冬にはスノーモービルやワカサギ釣りなど、
四季を通じて北の大自然を体験することができます。
良好な自然が保全され多くの鳥獣が生息し、
渡り鳥の中継地にもなっていることから、
大沼は2012年にラムサール条約登録湿地となりました。

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- 1.じゅんさい沼
- じゅんさい沼の形をイメージさせ湖面の表情や周辺の透明な光、空気を表す。
- 2.花のイメージ
- 大沼公園を彩る花のイメージや北斗市の花、マリーゴールドを表す。
- 3.駒ヶ岳
- 緑輝く秀峰「駒ヶ岳」や樹々の木漏れ日、ゆらぎをイメージさせる。
- 4.大沼・小沼
- 大沼・小沼の形をイメージさせる。湖面の表情や周辺の透明な光、空気を表す。
- 5.花のイメージ
- 大沼公園を彩る花や光のイメージを表す。
原画家

五十嵐 威暢 Takenobu IGARASHI
アーティスト
takenobuigarashi.jp
1944年、北海道生まれ。
グラフィック・プロダクトデザイナーとして世界的に活動。
1994年に彫刻家に転身。
北海道新十津川町の「五十嵐威暢美術館 かぜのび」
を拠点に、木、陶、金属、石、ステンドグラス等を素材として「日常風景にアートを」を合言葉に彫刻を制作。
2020年、北海道文化賞受賞。
2023年、金沢工業大学内に「五十嵐威暢アーカイブ」がオープン。
北海道新十津川町応援大使、多摩美術大学では学長を経て名誉教授。
作品情報
- 原 画 ・ 監 修 : 五十嵐威暢
- 作 品 名 : ムクムク水と光と大地に捧げる詩
- 場 所 : JR北海道新函館北斗駅自由通路
- 設 置 時 期 : 2016年3月19日
-
サ
イ
ズ
:
幅15.7m✕縦4.0m内にステンドグラス
フレーム5基
- 種 類 : ステンドグラス
- 企 画 : 日本交通文化協会
- 制 作 : クレアーレ熱海ゆがわら工房
- 協 賛 : 株式会社西武ホールディングス
Comment
現代アートは一般的に美術館やギャラリーといった鑑賞するための特別な空間に展示されることが多く、効率よく美術に触れる意味で大きな役割を果たしています。一方、20世紀半ばからは、公共的な日常空間に美術作品を設置するパブリックアートが現れました。新函館北斗駅の「ムクムク」は、まさにその流れに位置づけられる作品です。
日々の営みの質を上げるために、公共空間の役割を充実する上で、アートが担う役割は大きいと感じています。今回の制作にあたっては、豊かに満ちあふれる水、輝く光、大沼国定公園に代表される道南の美しい自然が拡がる大地が最初に浮かび上がって来ました。そのことがルーチェ・アルテの制作に私を向かわせる原動力になったのです。また、歴史的にステンドグラスが多いエリアだったことも理由のひとつでした。永い歴史によって培われたドイツ製の美しい手吹きガラスと科学技術の最先端の成果であるLED光源の組み合わせによって、光の造形(ルーチェ・アルテ)は美しい光と色とその輝きを駅空間に実現してくれたと思います。過去のステンドグラス作品の枠を破る(矩形や円の額縁からの解放)新たな挑戦でしたが、意欲的に取り組んだクレアーレ工房の仲間と、精緻な金属加工をされた連携工場の皆さんの技術の結晶として完成しました。パブリックアートの実現には多くの関係者の方々の理解と協働が鍵となります。作家として、また道民のひとりとして、心から感謝申し上げます。今後、新函館北斗駅を利用される方々に、「ムクムク」を通じて、北海道の自然と人の美のエネルギー(元気)を感じていただけたら幸いです。